三億円事件のモンタージュ写真に隠された罠!迷宮入りの元凶を追う

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事件発生から11日後の1968年12月21日、警視庁は犯人の人相として1枚の写真を公表しました。それが、白のヘルメットをかぶり、鋭い眼光でこちらを見据えるあの顔写真です。当時、警察庁が導入を進めていた先進的な鑑識手法として「最新技術で作られたモンタージュ写真」と喧伝され、全国の交番や駅、商店街に約78万枚も貼り出されました。

ところが、この写真には恐るべき裏事情が隠されていました。本来のモンタージュ写真は、複数の目撃者の記憶をもとに目、鼻、口などのパーツをモンタージュピースから選んで組み合わせるものです。しかし、実際に公表されたのは、府中警察署の少年係が保管していた実在する青年の顔写真を土台にした加工写真でした。

捜査本部は、事件直後に有力被疑者として浮上した立川グループの不良少年らをマークしていました。その過程で、ある捜査員が持参した「実在の青年の写真」を見た現金輸送車の運転手らが「この人物の輪郭や目元が似ている」と発言したことをきっかけに、鑑識課はその青年のスナップ写真をベースに採用。ヘルメットや上着の部分を描き足し、目元をわずかに修正しただけの状態のものを、あたかも「目撃証言を忠実に再現した合成モンタージュ」として発表してしまったのです。

実在のモデルとなった青年は、当然ながら事件とは完全に無関係でした。それにもかかわらず、本人の了承もないまま顔写真が犯罪者として全国に拡散され、青年の名誉とプライバシーは深刻に傷つけられる結果となりました。警察が犯人の特定を急ぐあまり、ゼロから顔を構築する原則を無視して「実在人物の顔」に頼ったショートカットこそが、半世紀に及ぶ未解決の悲劇の起点でした。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。