アンパンマン誕生秘話の真実!戦争体験と批判殺到の初期設定を解剖

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なぜ、やなせたかし氏は「パンを配るヒーロー」という異色の着想に至ったのでしょうか。その根底には、第二次世界大戦中の過酷な戦争体験と、骨身に染みた飢餓体験・ひもじさがありました。

やなせ氏は軍隊に召集され、中国戦線などを転々としました。戦場では敵との直接的な戦闘以上に、飢えとの戦いが過酷を極めました。食べるものが何もなく、野草を口にし、水だけで腹を満たす日々のなかで、人間が理性を失っていく極限状態を目の当たりにします。自著の手記において、氏は当時の苦痛を「飢えは耐えがたい。正義を語る前に、まず腹を満たさなければ人間は生きられない」と痛切に振り返っています。

さらに、戦時中に叫ばれていた「お国のための正義」が、日本の敗戦を機に180度覆る現実を目の当たりにしました。昨日までの正義が悪になり、悪とされていたものが正義ともてはやされる。国家や立場によって容易に変わってしまう正義の危うさに、強い不信感を抱いたのです。

「正義のための戦いなんてどこにもない。しかし、飢えている人に食べ物を差し出す行為だけは、どんな国でも、どんな時代でも絶対に覆らない正義だ」。この揺るぎない確信こそが、アンパンマンという正義の味方の理由となりました。

佐々木 一輝

佐々木 一輝

ビジネス戦略アナリスト

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。