小川糸の人生と名作選|母との絶縁とベルリン生活が育んだ祈りの文学
作家・小川糸さんは1973年、山形県山形市に生まれました。清泉女子大学文学部国文学科を卒業後、すぐに小説家として世に出たわけではなく、言葉を扱う多様な現場で表現力を磨いてきた異色の経歴を持ちます。
小説家デビュー前は、本名の関連名義や「春嵐(しゅんらん)」というペンネームで作詞家として活躍。音楽プロデューサーの水谷公生氏や浜田省吾氏らによる音楽ユニット「Fairlife」の全楽曲で作詞を手掛けるなど、音楽の世界で研ぎ澄まされたリリカルな言葉選びが、現在の小説表現の確かな礎となりました。
転機が訪れたのは2008年。処女小説『食堂かたつむり』が大きな話題を呼び、柴咲コウさん主演で映画化されるなど社会現象を巻き起こします。同作はイタリアの文学賞「バンカレッラ賞」料理部門を受賞するなど海外でも高く評価され、一躍人気作家としての地位を確立しました。