岩城滉一の現在と北海道移住の真相|結城アンナと紡ぐ70代の哲学
岩城滉一という人物を象徴するもう一つの要素が、一切の妥協を許さないメカニズムとスピードへの情熱です。プライベートで所有する愛車やバイクのコレクションは単なる趣味の領域を遥かに超越しています。
名車スズキ「KATANA」やフルカスタムされたハーレーダビッドソン、往年のポルシェから最新のキャンピングトレーラー、さらには北海道の開墾現場で自ら操るヤンマー製の油圧ショベルに至るまで、機械と対話し使いこなす技術はプロレーサー時代培った本物です。全日本F3選手権や全日本GT選手権に本格参戦していたレーシングドライバーとしてのDNAは、70代を迎えた今も色褪せていません。
そして、世間を驚愕させた最大の挑戦が、2013年に発表された民間宇宙旅行計画でした。オランダのSXC社(スペース・エクスペディション・コーポレーション)が開発する準軌道宇宙船「リンクス」に搭乗し、高度100キロメートルの宇宙空間へと飛び立つというプロジェクトは、当時60代の日本人俳優による前代未聞の冒険として世界的な注目を集めました。
しかし、宇宙船開発の技術的難航や開発元であるXCOR社の経営破綻(2017年の破産申請)により、フライトは事実上の無期限延期・中止を余儀なくされました。巨額の訓練費用と時間を投じながらも夢の実現が阻まれた際、岩城はメディアに対して恨み言を漏らすことなく、「挑戦することそのものに意味があった」と潔く受け止め、自らの冒険心を称える大人の度量を示しました。