乳化剤は体に悪い?パンの発がん性や腸への影響と危険性の真相
消費者が最も懸念する「乳化剤の発がん性」に関する真相ですが、厚生労働省や国際機関(JECFA)によって認可されている乳化剤自体が、直接的なDNA損傷や急性発がん性を持つわけではありません。ではなぜ、これほどまでに危険性が叫ばれるのでしょうか。
発端となったのは、国際的な学術誌『Nature』等に掲載された複数の動物実験データです。特に注目を集めたのが、合成乳化剤である「ポリソルベート80」や増粘乳化安定剤として用いられる「カルボキシメチルセルロース(CMC)」に関する研究報告でした。
これらの研究では、合成乳化剤を継続摂取したマウスの体内において、以下の現象が確認されています。
第一に、腸管の内壁を保護している粘膜層(ムチン層)が薄くなり、腸内細菌が腸壁の細胞に直接接触することで慢性的な微小炎症が引き起こされる点です。第二に、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)のバランスが崩れ、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)の悪化や、大腸がんの発生リスクを高める下地を作る可能性が指摘されました。
ヒトの体内でも同様の粘膜障害や代謝異常がどの摂取量で生じるのかについては現在も追跡調査が続けられています。動物実験のような極端な高濃度投与を日常の食事で再現することは困難ですが、「腸内バリア機能への慢性的な負荷」という観点から、超加工食品の過剰摂取に警鐘を鳴らす専門家が増えています。