幸福駅跡の現在はどうなった?廃線ブームの聖地が今も人を惹きつける理由
旧国鉄広尾線が惜しまれつつ廃止されたのは1987年(昭和62年)2月のことでした。全国各地で赤字ローカル線の廃線跡が草むらに消えゆく中、幸福駅跡は帯広市によって「幸福鉄道公園」として保存・整備され、今や世界中から観光客が訪れる屈指の名所となっています。
現地を訪れると、まず目に飛び込んでくるのは、壁一面に来訪者の願い事や記念のメッセージが刻まれた切符型ポストカードが隙間なく貼り付けられた木造駅舎です。かつて待合室を埋め尽くした切符の貼り紙文化は今も生きており、数年ごとに貼り替えが行われながらも常に新しい祈りが重なり続けています。
プラットホームには、当時この地を走っていたオレンジとクリーム色の気動車「キハ22形」が2両静態保存されており、実際に車内へ足を踏み入れることができます。板張りの床や青いモケットシート、白熱灯を模した照明など、昭和の鉄道旅の情緒が当時のまま息づいています。
「廃線跡=荒廃した遺構」という固定観念を覆し、駅舎、線路、プラットホーム、車両、そして周辺の芝生広場に至るまで徹底した維持管理が行われている点こそ、幸福駅跡が現在も色褪せない最大の要因です。