なぜ糖尿病でばね指が多発する原因とは?高血糖の罠と治らない時の治療法

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糖尿病を背景に持つばね指には、特有の臨床的サインが存在します。最も顕著な特徴は、親指や中指・薬指など、左右の手のばね指が複数指に発症しやすい点です。全身の高血糖環境がすべての腱鞘に等しく悪影響を及ぼしているため、1本の指を治療しても別の指に次々と症状が現れる「多発性」のパターンを辿ります。

初期の段階では、起床時に感じる糖尿病の合併症としての手指のこわばり(Diabetic Hand Syndrome / 糖尿病性手関節症の初期症状)から始まります。指を動かそうとすると引っかかる感覚(キャッチング現象)が生じ、指の付け根や糖尿病による手のひらのしこりと痛みを触知するようになります。このしこりは、腱鞘の摩擦によって腱が局所的に肥厚した「腱結節」です。

ここで臨床現場において特に注意を要するのが、デュピュイトラン拘縮と糖尿病性ばね指の違いを見極める鑑別診断です。

疾患名障害される主組織特徴的な動作・症状痛みの有無と進行ばね指(弾発指)屈筋腱および腱鞘(A1プーリー)指の曲げ伸ばし時に引っかかり、カクンと跳ねる(弾発現象)。他動的に伸ばすことが可能。動かす際に強い痛みや圧痛を伴うことが多い。デュピュイトラン拘縮手掌腱膜(手のひらの皮膚直下の膜)皮膚が引きつれて硬い結節・索状物ができ、指が曲がったまま自力でも他動的にも伸ばせなくなる。通常、強い自発痛や動作時痛はほとんどない。糖尿病性手関節症手背・手掌の皮膚および関節包全体両手を合わせても手のひらや指が密着しない(Prayer sign / 祈祷徴候)。皮膚が硬くワックス状になる。広範なこわばり感が主で、局所の激痛は少ない。

デュピュイトラン拘縮も糖尿病患者に好発する合併症の一つですが、腱そのものの滑走障害であるばね指とは病態が異なります。適切な治療法を選択するためにも、自己判断での決めつけは禁物です。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。