食卓の魚はどこから来た?密漁と暴力団が蠢く巨大闇市場の全貌
日本の豊かな海で獲れる高級魚介類。その供給網の奥深くには、長年にわたって築き上げられてしまった水産業界と反社会的勢力の根深い癒着が存在する。「サカナとヤクザ」の著述で鈴木智彦氏が示してみせたのは、単なる街頭の犯罪行為ではなく、産地から卸売市場、さらには有名料亭や外食チェーンに至るまでの整然としたサプライチェーンそのものに暴力団が深く組み込まれている実態であった。
なぜ水産業界はこれほどまでに裏社会の介入を許してきたのか。その理由は海という特殊な環境にある。陸上の所有権とは異なり、広大な海における漁業権の境界線は曖昧になりがちだ。そこに目をつけた暴力団は、地元漁業者との共謀や脅迫、あるいは密漁業者の組織化を通じて、圧倒的な利益率を誇る非合法な資源ビジネスを確立させた。2026年の今日においても、その巧妙な構造は形を変えて生き残っている。