ペチュニアとサフィニアの決定的な違い!プロが明かす苗選びの極意
時計の針を1980年代後半に戻そう。当時、南米原産のナス科に属するペチュニアは、日本の梅雨や猛暑にめっぽう弱い「気難しい花」の代名詞だった。雨に打たれれば薄い花弁は溶けるように傷み、高温多湿の環境下では株元から灰色かび病に冒されて枯死する。ベランダ園芸の主役にするには、あまりにもリスクが高い植物だったのだ。
この常識を根底から覆したのが、飲料大手サントリーホールディングスの技術者たちだった。酒造りで培ったバイオテクノロジーを応用し、南米で自生していた原種ペチュニアの並外れた強靭さに着目。1989年、同社の花事業部門(現サントリーフラワーズ)が世に送り出したのが「サフィニア」である。日本の花卉園芸市場におけるパラダイムシフトの瞬間だった。
サフィニアは無性繁殖(挿し芽)によってのみ増殖される栄養系品種として品種登録され、従来の種子から育てる実生系ペチュニアとは一線を画す圧倒的な分枝力と耐雨性を証明してみせた。日本の園芸界において、一企業のイノベーションがそのままひとつの植物ジャンルの代名詞となった稀有な実例である。