『犬夜叉』殺生丸が捨てた切っ先――「冥道残月破」継承劇の深層
初期の冥道残月破は、空間に不完全な三日月の傷をつけることしかできなかった。不完全な技のままでは冥界への穴も小さく、敵を完全に飲み込むことは不可能だ。しかし、命を慈しむ心や大切な者を守る覚悟が育つにつれ、三日月は徐々に円形へと満ちていく。
最終的に鉄砕牙へと組み込まれたことで、技は完璧な「黒い真月」へと完成を見た。技の真の完成プロセスそのものが、未熟だった登場人物たちの心の成長と重なり合っていたのだ。物語の初期から巧みに張り巡らされていた伏線の美しさに、改めて原作の圧倒的な構成力を思い知らされる。